痺れるほどの悪人
前回に続く伊東潤氏の作品。
南北朝の作品は何冊か読んだが師直が小説の主人公なのは今までないのではないか・・・
作品は鎌倉幕府の崩壊から後醍醐天皇の南朝との戦い、その後の足利幕府内の抗争までがとても刺激的にかつわかりやすく描かれている。
なかでも興味深いのはこのころの武士と戦国時代の武士との思想の違いだ。
南北朝では武士の出自が重要視され、源氏か平氏かにこだわり、結局、高師直も下克上を思いとどまったのも南北朝という時代がそうさせたものと思われる。
もう一つが天皇への崇拝である。結局南朝と争うことになった足利氏は北朝を担いだが、やはり大義名分の最重要事項が天皇崇拝であったのだろう…
この考え方が戦国時代には一時下火になり、幕末にまた火山のごとく噴火するのだから歴史は面白い!!
やはり歴史は悪人がいてこそおもしろいものであり、そのことを再確認させてくれる作品だ!
君は天職に出会っているか
君は天職に出会っているか。
この本からのメッセージはまさにこの人に尽きる・・という感想は誰もが思いつくものだが、自分が思った感想はちょっと違う。
ストーリーはナイキの創始者フィルナイトがオニツカタイガーの代理店からナイキを立ち上げ上場し、成功を収めるまで描かれているが、あのナイキが自宅のガレージから始めた本当の零細企業から始まったものと全く知らなかった❗️
さらにフィルナイト以外の個性的な登場人物が物語をより劇的なものにしているのもこの本が売れている理由だろう。
しかし、自分が1番印象に残ったことは、フィルナイトが会計士の資格をもっていてナイキの資金繰りが大変でその資金を捻出するために会計士の仕事をしていたことだ。
よく、会計の仕組みを知っている経営者は強いとか、経営者でも簿記に強くなれというビジネス本が溢れているが、シュードッグを読むと必ずしもそれは当てはまらないことが解る。
会計に強いはずのフィルナイトがいつも資金繰りで四苦八苦していたからだ。
彼の場合は靴を通じてアスリートに貢献したいという情熱がまさに成功の秘訣でお金は後から付いてくるものとうことを教えてくれている。
1番幸せな生き方ともいえのではないか。
加賀百万石って幕末は何してたの?
まさに上記タイトルの謎が解ける一冊という作品だった!
大久保利通が元石川県士族によって暗殺されたことは記憶のどこかにあったのでが、西郷の首を発見したのも同じ元石川県士族だったとは・・・
そもそも、俗にいう加賀百万石と言われている大、大、大藩である加賀藩が幕末のほかの小説では全くと言っていいほど存在感がないのはなぜなんだろうというのが、この本を手に取ったきっかけである。
物語は加賀藩士の島田一郎と千田文次郎が幕末の動乱を共に生き抜いたが、明治になり2人は別々の道を歩むことに・・・
対照的な2人の人生と維新後の石川県の微妙な立ち位置がよくわかる一冊である。
著者の伊東潤氏は歴史の敗者、しかも今まであまりひかりがあたって来なかった人物の小説が多いが、この作品にも登場している天狗党の藤田小四郎が登場していて、その無念だったろう最後は胸が熱くなる。。。
天狗党に興味ある方はこちらも💁♂️
苦もなく45分早起きになった!!
今年は早起きを習慣化したい!!年始にたてた目標を達成するべく購入した一冊。今のところ6:45→6:00と45分早く起きることに成功して三週間経過(ただし今のところ平日のみ)。
習慣の定着が14日間と言われているので習慣化はできるという確信あり。
もともと今年は国家資格も取得したいという宿願があり年始からこの本に出会った。
まさに出会うべくしてであったという思いが・・・
早起きを→勉強や読書にあてる→朝早いので夜眠くなる→早く眠れる
という好循環は生まれ、さらには夜早く寝たいため夜の食べる量も減り体重が正月太りがきれいに戻るという副産物も享受してしまった!
まさにいいことずくめな習慣である。
もちろんこのブログも朝の勉強の後の余った時間でコーヒーを飲みながら書いている。
さらには出社まであと10分という本書で言うケツかっちん仕事術を利用して締め切り効果を利用している。
まだまだ書き足りないことはあるが・・・今回はここまで…
入り口ラフだが中身はドープ・・・
書店にて手に取ったきっかけは表紙がおしゃれなのと、パリに行ってみたいなという単純な思いからだった。
本の内容は著者の女性がパリ在中の日本人のおじさんとおじさん巡りを行い、インタビュー形式をまとめたものである。
インタビューの合間に寄り道コラムとして移民・難民問題、イスラム教、パリ同時多発テロなどパリが抱える闇の部分にも著者が目をそむけず書かれているため、堅苦しい歴史や地政学の本よりもすうーっと頭に入ってくるため自然と知識の蓄積ができた。
中でも印象深かったのが、ロベールフランクさんというおじさんのインタビューで、著者も書いているがホロコーストがドイツだけのことではなくフランスでも強制収容所があり多くのユダヤ人がなくなったことだ。狂気が世界も包み込んでしまうとこんなにも人は残酷になれるものかと改めて気づかされる内容だ。。。
本書は入り口と中身のギャップがいい意味裏切られた内容で非常に人生の糧になった。
戦国一押し人物!!
”今までに読んだことのない人物に会いたい”と思い探している中で出会った作品であり、この小説の主人公 島津家久 はまさにうってつけの人物であった。
戦国時代の島津氏というと秀吉の朝鮮侵略と関ヶ原の戦いでの島津の退き口が有名であるがそれ以前については小説化されているものはあまりないのではないか。
島津義弘や義久は有名であるが、自分も恥ずかしながら家久という人物を初めて知り、さらには四兄弟だったことも初めて知った。
物語は家久が若いころ諸国を回ったこと・耳川の戦いで大友宗麟を破り・沖田畷の戦いで竜造寺隆信を討取り、さらには秀吉軍の先方 仙石・長宗我部をさんざんに破った戦が書かれておりどれも臨場感あふれるタッチが読み手を引きこませるのが非常に巧い作品であった。
家久は兄弟のうち一人腹違いということで、戦闘という行為ももって他人に認めてもらおうと必死に生き抜いた様が描かれており人一倍明るい人物にであるが、どこか暗い宿命を背負って生きていた姿に胸が熱くなるものがあった。
戦国・島津氏の魅力が再発見できる一冊であった。
誰がアパレルを殺すのか 杉原淳一 染原睦美
きっかけはこのショッキングなタイトルと自分が洋服好きのため思わずジャケ買いした一冊
内容は一見華やかなアパレル業界の内情や現在の業界が抱えている闇が前半部分に描かれている。
後半部分では日本及び海外での新たな動きについて言及し、特にエバーレーンというアメリカの新興企業では店舗さえ持たずに商品を販売し、支払いは電子決済ののみ、さらには商品の原価を表示したりと今までにない取り組みで業績を伸ばしている企業についいて述べられているところは時代は新たな局面に入っていることを実感させられた。日本ではやはりゾゾタウンについて詳しく述べられており、現在における影響力がうかがえる。
どんな業界でも再編があるがアパレル業界はまさにその真っただ中にあると判る内容であった。